映画評「NO FATHER TO GUIDE HIM」

[製作国]アメリカ  [製作]ハル・ローチ・ステゥディオズ  [配給]パテ・エクスチェンジ

[監督]レオ・マッケリー  [製作]ハル・ローチ

[出演]チャーリー・チェイス、キャスリン・グラント、ミッキー・ベネット、ジョセフィーヌ・クロウェル、デューク・カハナモク

 ジミーは別れた妻との間にできた男の子と一緒に遊ぼうとするが、別れた妻の母親が許さない。だが、男の子の協力もあってビーチで遊ぶが、ジミーの水着がなくなって大騒ぎ。加えて、妻の母親と探偵が、子どもを取り返しにやって来る。チャーリー・チェイスがジミー・ジャンプの役名で主演したコメディ・シリーズの1つ。

 チャールズ・チャップリンの「キッド」(1921)のチャーリー・チェイス短編バージョンとでもいったところか。チェイス演じるジミーと少年の息が合っていて、2人を応援してあげたくなる気持ちになる。妻の母親を少年が意図せず叩いてしまったり、男の子を叩いている妻の母親をジミーが警察に通報して大勢の警官たちによって連れ去られたりと、ジミーと男の子は共通の敵としての別れた妻の母親から、自分たちの幸せを勝ち取る。

 早朝の牛乳配達をしているジミーが鉄製のヘルメットをかぶっているのは、酔っ払って帰ってきた亭主と間違えて殴られても大丈夫なようにだったり、ジミーが女性服を着て町を歩くハメになったりと細かいギャグも楽しい。

 途中に出てくるライフガードを演じているのはデューク・カハナモク。1912年、1920年、1924年のオリンピックでメダルを獲得した、ハワイ出身の水泳選手だ。助けようとするジミーに逆に殴られて失神するというマヌケな役柄なのだが、素人臭さがなく、プロのコメディアンかと思うほどだった。

 ジミーと男の子の関係を軸に据えることで、ギャグだけの作品にはないペーソスがある。とはいってもチャップリンとは異なり、ものすごくカラッとしたペーソスが感じられる作品である。