映画評「THE UNEASY THREE」

[製作国]アメリカ  [製作]ハル・ローチ・ステゥディオズ  [配給]パテ・エクスチェンジ

[監督]レオ・マッケリー  [製作・脚本]ハル・ローチ

[出演]チャーリー・チェイス、フレッド・ケルシー、キャスリン・グラント、ブル・モンタナ、オリーヴ・ボーデン

 男2人(チャーリーとウィリー)女1人(キャスリン)の3人は、値打ちのあるブローチを手に入れるために、金持ちの家にミュージシャンのフリをして入り込む。そこに、本当に呼ばれていたミュージシャンが現れ、探偵には疑われるが、何とかやり過ごす。

 タイトルは、「三人(THE UNHOLY THREE)」(1925)から取っていると思われる。ウィリーがロン・チェイニーに似ていることからも間違いないだろう。だが、内容は「三人」とはあまり関係がなく、レイモンド・グリフィス主演のコメディ「極楽突進」(1925)に非常に似ている。グリフィスとチェイスは容貌が非常によく似ており、そのことも含めたパロディなのではないかと感じた。

 金持ちの家でのやり取りでは、チャーリーがミュージシャンや探偵を騙す知恵が楽しい。ミュージシャンたちにキッチンで探しものをさせて、探偵に「キッチンに泥棒がいる」と密告するなど、良く練られている。

 ギャグの面では、金持ちの家からチャーリーたちの家に舞台が移ってからが冴えている。ヘリウムが入った浮く風船を警官から隠す必要があり、チャーリーはシルクハットの中に隠す。だが、警官に尋問されたチャーリーのシルクハットは自然と浮き上がってしまうのだ。

 チェイスの知恵によってミュージシャンや探偵をキリキリ舞いさせる楽しさが、この作品の最大の見所だろう。そして、他のコメディにはないキレがある。それは、徐々に磨かれていき、単なるスラップスティックやサイト・ギャグに終わらない作品を、監督のマッケリーやチェイスは生み出していくことになる。