映画評「THE CARETAKER'S DAUGHTER」
[製作国]アメリカ [製作]ハル・ローチ・ステゥディオズ [配給]パテ・エクスチェンジ
[監督]レオ・マッケリー [製作]ハル・ローチ [撮影]グレン・キャリア [編集]リチャード・C・キュリアー
[出演]チャーリー・チェイス、キャスリン・グラント、ジョージ・シーグマン、ウィリアム・J・ケリー
妻に常に浮気を疑われているチャーリー。上司に頼まれて上司の愛人を車に乗せて連れ込み宿に行くが、それを目撃した愛人の夫とチャーリーの妻が、チャーリーの後を追う。そこに、チャーリーの上司も加わり、連れ込み宿に一同が集う。
連れ込み宿の中でドタバタが繰り広げられる・・・と思いきや、そうはならない。この頃のチェイスの作品は大味なドタバタではなく、アイデアが練られたギャグが見られるが、この作品もその1つだ。追い詰められたチャーリーは、宿の管理人の格好をして誤魔化そうとし、上司の愛人も同じように管理人の格好をして誤魔化そうとし、そこにやって来た探偵もなぜかまた管理人の格好をして、管理人本人も含めて4人も管理人が登場して、他の登場人物たちを困惑させる。
管理人を演じているのは、チャーリーの兄であるジェームズ・パロット。メガネと付け髭をしていることもあり、2人は良く似ている。大げさなドタバタはないが、管理人が増えていくギャグは秀逸だ。
他にも、冒頭では坂道に止まっていた車が滑り落ちて車庫を破壊したり、チャーリーが売った車がちょっとした段差を降りようとしただけでバラバラに壊れてしまったりといった、破壊のサイトギャグも楽しい。
この頃のチェイス作品を監督しているのは、後に大監督となるレオ・マッケリー。チェイスと一緒に、新しいタイプの短編コメディを生み出していく努力が、後の活躍につながっていくのだ。