映画評「HALF A MAN」
[製作国]アメリカ [製作]ジョー・ロック・コメディーズ、スタンダード・フォトプレイ・カンパニー [配給]セルズニック・ディストリビューティング・コーポレーション
[監督・製作]ジョー・ロック [監督]ハリー・スウィート [撮影]エドガー・ライオンス
[出演]スタン・ローレル、ジュリー・レナード、ブランシュ・ペイソン、マレー・ロック
母親から「女だけは信じるな」と教えこまれたウィンチェルは、ふとしたことから乗り込んだ船に火事を起こしてしまう。ウィンチェルがようやくたどり着いた無人島には、同じ船に乗っていた女性たちもたどりついていた。女性の中に男一人となったウィンチェルは、女性たちに追い掛け回される。
ウィンチェルを女性たちが追いかけるという展開は性的な要素も感じさせるが、ウィンチェルが少年のような男(ペロペロキャンディを舐めながら登場するのだ)にすることで、マイルドにされている。ウィンチェルのキャラクターを女性が苦手であると規定することで、女性たちに追いかけられるというシチュエーションに面白さを持っていっているのはうまい。
冒頭では、「ウィンチェルは何とかやっていくよ」と両親が話しているショットに、魚捕り網に絡まっているウィンチェルの姿をつなげるというベタだが楽しい編集を見せてくれる。後半では、崖から突き落とされたウィンチェルの姿(もちろん人形)の姿をじっくりと見せて楽しませてくれる。
無垢というキャラクター、奇抜なシチュエーション、ベタだが楽しい演出と、オリヴァー・ハーディとコンビを組む前のスタン・ローレルの作品の中では上位に位置する作品ではないだろうか。