映画評「CHARLEY'S AUNT」

[製作国]アメリカ  [製作]クリスティ・フィルム・カンパニー  [配給]コロンビア・ピクチャーズ

[監督]スコット・シドニー  [製作]アル・クリスティ  [原作]ブランドン・トーマス  [脚本]F・マッグルー・ウィリス  [撮影]ポール・ガーネット、ガス・ピーターソン

[出演]シド・チャップリン、エセル・シャノン、ジェームズ・E・ペイジ、ルシアン・リトルフィールド

 愛するエラの父親がギャンブルで金を失うのを見たバッブスは、宝くじが当たった狂言をして父親に金が入るようにする。だが、バッブスが父親に宝くじを買うようにそそのかしていると思ったエラは、バッブスとの縁を切る。傷心のバッブスは地元のイギリスに向かう。友人チャーリーとジャックがそれぞれの婚約者と結婚する許可をもらうために、バッブスはチャーリーの叔母の扮することになる。

 1892年に上演されたイギリスの笑劇(ファルス)の映画化である。チャールズ・チャップリンの兄であるシド・チャップリンが主演しており、原題「チャーリーの叔母」ならぬ「チャーリーの兄」が主演している。シド・チャップリンはコメディアンとして活躍していたが、この作品では髪を後ろになでつけたハンサムな男性として登場する。だが、女装してチャーリーの叔母になってからは、嬉々としてはっちゃけている。

 ゆっくりとした序盤から、バッブスがチャーリーの叔母に扮して以降はテンポを上げていくという正攻法の構成を見せる。バッブス扮するチャーリーの叔母に、2人の初老の紳士が恋するようになるという展開はベタだが、普遍的なバカバカしい楽しさを見せてくれる。

 シド・チャップリンは、弟チャールズの影に隠れた存在で、伝説的な弟と比較するのは可哀そうというものだ。だが、この作品を見ると、並のコメディアン以上の実力を持った人物だったことが分かるだろう。