映画評「THE BIG TOWN」

[製作国]アメリカ  [製作]ハル・ローチ・ステゥディオズ  [配給]パテ・エクスチェンジ

[監督]ロバート・F・マクゴーワン  [製作・脚本]ハル・ローチ  [撮影]アート・ロイド

[出演]ジョー・コブ、ジャッキー・コンドン、ミッキー・ダニエルズ、デヴィッド・デュランド、ジャック・ギャヴィン

 乗っていた貨車が動き出してしまい、ちびっ子ギャングたちはニューヨークへ到着する。ハル・ローチ製作の「OUR GANG(ちびっ子ギャング)」シリーズの1つ。

 ニューヨークへ行く前の納屋を燃やしてしまうまでと、ニューヨークのシーン、警官に引率されて列車で帰るまでの三部構成になっている。

 タイトルにもなっているようにニューヨークのシーンは特徴的だ。「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」(1984)で有名なブルックリン・ブリッジや、「フレンチ・コネクション」(1971)で有名な高架鉄道などのニューヨークならではの景色が調味料のように使われる中、交通整理をしている警官を見て「手を振ってる。知り合いかな」と言うなど、主にセリフ(サイレントなので字幕)でちびっ子ギャングらしい軽い笑いを提供してくれる。

 消化器に酒を隠していたため(当時は禁酒法の最中だった)、ちょっとした火が大火事になってしまったりと細かいギャグも面白い。個人的に最も面白かったのは、列車のレストランでスパゲッティを頼んだがうまく食べられず、手で口に入れようとするがうまくいかない。しまいには、巨大なクモの糸のように体中にスパゲッティが絡みつくようになってしまったというギャグで笑わせてくれる。

 「ちびっ子ギャング」シリーズは、子どもたちが作ったという設定の実際には無理だろうと思わせるような装置や、子どもたちならではのカオスが魅力だったりするが、この作品は程よいバランスでリアリティのある楽しい作品となっている。