映画評「SHOOTIN' INJUNS」

[製作国]アメリカ  [製作]ハル・ローチ・ステゥディオズ  [配給]パテ・エクスチェンジ

[監督]ロバート・F・マクゴーワン  [製作・脚本]ハル・ローチ  [撮影]アルヴィル・クネヒテル、アート・ロイド

[出演]ジョー・コブ、ジャッキー・コンドン、ミッキー・ダニエルズ、リチャード・ダニエルス、ジョニー・ダウンズ

 西部開拓の英雄よろしく、自分たちだけで西部へ向かおうとするちびっこギャングたち。だが、途中で雨に降られて断念。空き家で雨宿りをしようとするが、そこはアミューズメント・パーク用に作られたびっくりハウスだった。ハル・ローチ製作の「OUR GANG(ちびっ子ギャング)」シリーズの1つ。

 インディアンを撃つために西部へ向かうという設定は穏当ではないが、当時の人々の基準からするとおかしくはなかったのだろう。これが時代の変化というものだ。

 前半のちびっこギャングたちの秘密基地をめぐるやり取りは少し地味だが、後半のびっくりハウスから一気に派手になる。サイレント・コメディではよくあるパターンだ。ハロルド・ロイドも「ロイドの化物屋敷」(1920)という作品を残しており、恐怖で髪の毛が逆立つというギャグが、この作品でも使われている。だが、二重写しや逆回し、スロー・モーションといったカメラ技巧を駆使したシュールな演出が印象的。走る姿をスロー・モーションにするだけで、なぜにこんなにも印象深い映像になるのか。不思議なくらいだ。