映画評「ASK GRANDMA」

[製作国]アメリカ  [製作]ハル・ローチ・ステゥディオズ  [配給]パテ・エクスチェンジ

[監督]ロバート・F・マクゴーワン  [製作・脚本]ハル・ローチ

[出演]ジョー・コブ、ジャッキー・コンドン、ミッキー・ダニエルズ、ジョニー・ダウンズ、アレン・ホスキンス

 母親にバレエを習わされているミッキーはイヤでイヤで仕方がない。ミッキーのおばあちゃんは、ミッキーを普通の男に育てようと野球のグローブを買ってあげたりする。ある日、可愛い女の子をめぐって他の男の子とケンカになったミッキーはおばあちゃんの助言を得ながら勝つ。ハル・ローチ製作の「OUR GANG(ちびっ子ギャング)」シリーズの1つ。

 これまでの「ちびっ子ギャング」シリーズとは一味違った作品となっている。これまでが、「ちびっ子ギャング」というグチャっとした一団が主人公としてストーリーやギャグが展開されていくのに対して、この作品では主人公が明確にミッキーに設定されている。また、子どもの遊びを大人の規模で行うギャグや、子供らしい天真爛漫なスラップスティックは影を潜め、かっちりとした設定やストーリーが軸としてしっかりとあり、ギャグは味付けにとどまっている。

 ストーリーは同じハル・ローチがハロルド・ロイドを起用して製作した「豪勇ロイド」(1922)を思わせる。気の小さいという設定の「豪勇ロイド」と異なり、この作品は母親に縛られているという点では異なるが、おばあちゃんによって勇気づけられている点では同じだ。そのおばあちゃんは、途中でキャッチボールのウォーミングアップにバック転を始めたり、ミッキーとのボクシングでは何度も何度もミッキーを倒したりと、エネルギッシュぶりが楽しい。

 「ちびっ子ギャング」シリーズも当初の勢いや、ワンアイデアだけではなく、ストーリーや設定にも配慮されるようになってきた。それは、同じハル・ローチのスタジオの所属である、チャーリー・チェイスにも言える。もちろんチェイスもすごいのだが、「ちびっ子ギャング」と合わせて考えると、ハル・ローチの偉大さが感じられる。