映画評「炎の中国」

※ネタバレが含まれている場合があります

[製作国]ソ連  [原題]KITAJ V OGNE  [英語題]CHINA IN FLAMES  [時間]31分

[監督]ゼノン・コミッサレンコ、ユーリー・メルクーロフ、ニコライ・ホダターエフ

 諸外国の列強に苦しめられている様子や、国内の地主や役人に苦しめられている農民たちの様子を描いた後、ソ連と同盟が結ぶことが中国の最善の道であり、そのためにソ連国民を支援するように呼びかける。30分程度の中編アニメーション映画。

 当時の中国が、ソ連の外交戦略において重要な位置を占めていたことが、このアニメーション映画から分かる。中国の農民や労働者が、かつてのソ連と同じ状況にあることを強調し、ソ連と中国が同盟を結ぶことが望ましいことが訴えられる。最後には、レーニンの言葉を引用するほどの念の入れようだ。また、当時のソ連国民に対するレーニンの影響力の大きさも窺い知ることができる。

 「惑星間革命」(1924)と同じ監督による「炎の中国」は、当然だが手法的にも似ている。切り絵を使った手法も踏襲されており、戯画化された資本主義者は「惑星間革命」からの使い回しも見受けられる。驚いたのは、中国語の使用の適切さだ。雰囲気を出すための適当な使用ではなく、言葉的にも適切に使われているように感じられた。中国への輸出も行われたのかもしれないが、実際のところは分からない。

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