「熱砂の舞」 ヴァレンティノ最後の出演作

 ルドルフ・ヴァレンティノが最後に出演した作品が、ユマで沙漠の光景を撮影した「熱砂の舞」(1926)である。無法者の群れから恋人を救い出すアーメッドと父親の二役を演じた。単純なエロティシズムから発展し、情熱的な求愛ではなく、情熱的な憎悪が描かれている。「彼の二律背反する愛−憎の魅力の極地を示している」(アレクザンダー・ウォーカー「スターダム」)と言われる「熱砂の舞」は、ヴァレンティノの最後にふさわしい作品といえるかもしれない。

 ヴァレンティノのように、熱烈な恋人役を演じることができるスター像は、後のスターに受け継がれていく。ジョン・ギルバートはその筆頭といえる。

熱砂の舞 [VHS]

熱砂の舞 [VHS]