「黒い鳥」「マンダレイへの道」 ブラウニング=チェイニーのタッグ

 トッド・ブラウニングとロン・チェイニーは1925年からコンビ作を連発していたが、この年は「黒い鳥」「マンダレイへの道」(1926)が作られている。

 「黒い鳥」は、せむしの慈善活動家を隠れ蓑にしている悪党の物語である。主人公は自分を追い込んだ運命や、自分をならず者と嘲る人々へ復讐を行う。

 「マンダレイへの道」は、自らを父と知らない娘を持つ片目の男が、娘を捕らえた敵役から救い出そうとして、逆に娘に刺されて死んでいくという物語で、チェイニーがコンタクトレンズをメイクに使用したことでも有名な作品だ。この作品について柳下毅一郎は「興行師たちの映画史」の中で「不具と性的シンボリズムにあふれた物語はきわめてブラウニングらしいものである」と書いている。

興行師たちの映画史 エクスプロイテーション・フィルム全史

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