ハリー・ラングドンの独立

 ベビー・フェイスでひょうひょうとしたおかし味とペーソスを兼ね備えていたハリー・ラングドンの人気が高まっていた。からだつきも幼いラングドン演じる主人公は赤ん坊みたいに純真で、世間のちょっとした出来事も驚異に感じられた。そんなハリーがいろいろな局面にぶつかって困惑し、他人にとばっちりがいくのが面白く、意外な機知で局面を切り抜けるところに笑いが生まれていたという。

 ラングドンはファースト・ナショナルからの誘いに乗り、それまでも一緒に働いていた監督のハリー・エドワーズやフランク・キャプラを雇って、ハリー・ラングドン社を設立している。キャプラによる長編喜劇などを製作したが、やがてキャプラとエドワーズと別れ、ラングトン自ら監督するが失敗に終わったという。

 この年のラングドン主演作には、ラングドン初の長編で短編から組んでいたハリー・エドワーズが監督した「初陣ハリー」(1926)や、フランク・キャプラの長編デビュー作「当りっ子ハリー」(1926)がある。

 「当りっ子ハリー」は、第一次大戦で戦っていたベルギーの若者ハリーが、アメリカ娘から慰問の手紙をもらって恋に落ちる。戦争が終わり、ハリーは巡業一座に加わってアメリカに行き、手紙をくれたアメリカ娘を探し・・・という内容の作品である。