「悪魔のサーカス」 ベンヤミン・クリステンセンとMGMの戦い

 かつて「魔女」(1922)を監督し、北欧からハリウッドへ招かれていたベンヤミン・クリステンセンは、ノーマ・シアラー主演の「悪魔のサーカス」(1926)を監督している。だが、「THE LIGHT ETERNAL」のタイトルで書かれたクリステンセンのシナリオは、会社側の20人のライターによって8ヶ月に渡って書き直された結果、個性的な部分が削られてハリウッド式のルーティンに変えられたという。最終的にはサーカスを舞台にしたメロドラマとなったが、クリステンセンらしい演出も見られるという。

 結局MGMは、MGMは独創性を重視するクリステンセンに自由を与えなかった。MGMからすれば、「魔女」を撮った恐怖映画の巨匠という触れ込みで映画が売れればよかったのだった。