フランス マルセル・レルビエ「生けるパスカル」と独立プロの終焉
マルセル・レルビエ監督の「生けるパスカル」(1926)が公開されている。死んだと思われていた男性が実は生きており、以前とは別の女性と愛し合うようになる物語で、イタリアの有名な小説家・劇作家ピランデッロの原作である。カフカ的セットと構図が印象的だったという。主演はロシアから亡命していたイヴァン・モジューヒンで、批評的には成功を収めたという。
この頃のレルビエは、友人たちと作った独立プロダクションのシネ・グラフィック社で監督をしていた。シネ・グラフィック社はクロード・オータン=ララをデビューさせたりもしたが、まもなく経営難に陥ってしまう。レルビエは独立プロダクションを失い、特権的な地位を失ってしまう。
この頃のレルビエおよびフランス映画界について、ジョルジュ・サドゥールは「世界映画全史」の中で次のように書いている。
「ドイツ映画とアメリカ映画という二つの強力な競争相手に挟まれた1925年のフランス映画の状況は、芸術(そして芸術のための芸術でもある)への配慮だけに支配された独立プロの存続を許さなくなっていた」
無声映画芸術の成熟―第1次大戦後のヨーロッパ映画〈1〉1919‐1929 (世界映画全史)
- 作者: ショルジュサドゥール,Georges Sadoul,丸尾定,小松弘,村山匡一郎
- 出版社/メーカー: 国書刊行会
- 発売日: 1998/10
- メディア: 単行本
- クリック: 4回
- この商品を含むブログ (2件) を見る