映画評「熱砂の舞」
※ネタバレが含まれている場合があります
[製作国]アメリカ [原題]THE SON OF THE SHEIK [製作]フィーチャー・プロダクションズ [配給]ユナイテッド・アーティスツ
[監督・製作]ジョージ・フィッツモーリス [原作]E・M・ハル [脚本]フランセス・マリオン、フレッド・デ・グレサック [撮影]ジョージ・バーンズ [美術]ウィリアム・キャメローン・メンジース
[出演]ルドルフ・ヴァレンティノ、ヴィルマ・バンキー、ジョージ・フォーセット、モンタギュー・ラヴ、カール・デイン
踊り子のヤスミンは、砂漠のシークの息子であるアーメッドと恋に落ちる。ある夜、二人が密会をしていると、ヤスミンの仲間がアーメッドを捕らえて、シークに身代金を要求しようとする。逃げ出したアーメッドだったが、ヤスミンが身代金を狙って自分に近づいたと勘違いして、復讐を誓う。
1921年にヴァレンティノが出演した「シーク」の続編であると共に、1926年に急死するヴァレンティノの遺作でもある。
ヴァレンティノにとってはヒット間違いなしの作品である。自らのスターとしての地位を確定させた「シーク」の続編であり、白人女性と恋に落ち、時には力ずくで屈従させ、時には許しを乞う。美しい横顔は、見事に計算された角度で映し出される。
自分の作りたい映画を作ろうと映画会社と揉め、思うとおりの映画を作るも興行的に成功しなかったヴァレンティノにとって、この作品は自らのラテン・ラヴァーとしての地位を確保しておくに十分な作品といえるだろう。レイプを暗示させるシーンは、ヴァレンティノ以外の役者ではグロテスクさに満ちてしまう可能性を持っている。まさに、ヴァレンティノでなければ許されないシーンだ。
ヴァレンティノはこの作品を最後にこの世を去る。最後が、「熱砂の舞」であったことは、ヴァレンティノにとって幸福だったのだろうか?不幸だったのだろうか?それは、ヴァレンティノが決めることだろう。ただ、いかにもヴァレンティノらしい作品を最後に亡くなったことで、ヴァレンティノは伝説を一層強固にしてこの世を去ったということだけは言える。
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- 発売日: 1995/02/21
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