グレタ・ガルボ「アンナ・カレニナ」とリリアン・ギッシュ

 思うような映画製作ができなかったモーリッツ・スティルレルに対し、スティルレルがスウェーデンからハリウッドへと連れてきた女優グレタ・ガルボは、順調にキャリアを重ねていた。この年は「アンナ・カレニナ」(1927)に出演している。

 「アンナ・カレニナ」は、元々リリアン・ギッシュ主演で映画化が企画されていたのだという。製作のアーヴィング・サルバーグは、アンナの子供を実の子ではなく養子にしようとしたが、リリアンは反対した。またサルバーグは、リリアンのスキャンダルをわざと報道させて世間の注目を集めようとしたが、リリアンは断ったという。こうした経緯があり出演にはいたらず、ギッシュがガルボのカメラテストをMGMに薦めたこともあり、ガルボが出演することになったのだという。

 ちなみに、「アンナ・カレニナ」の原題は「Love」であるが、「in heat(熱情)」のタイトルが当初検討されたのだという。だが、ポスターに「Garbo in heat」と表記されると、「さかりがついたガルボ」という意味になるため変更になったのだという。