後のフランス映画の巨匠 ジュリアン・デュヴィヴィエの映画製作

 ルネ・クレールらと並ぶ古典フランス映画の巨匠の1人となるジュリアン・デュヴィヴィエは、フィルム・ダールと3ヵ年契約を結び、契約の条件だったカトリック宣伝映画「エルサレムの苦悩(L’AGONIE DE JERUSALEM)」(1927)を監督している。パレスチナにロケをした大作だった。

 他にもデュヴィヴィエは、「イスパノの男(L'HOMME A L’HISPANO)」「ブールマン嬢の結婚(LE MARIAGE DE MADEMOISELLE BEULEMANS)」(1927)を監督している。

 ピアリッツにロケを行った「イスパノの男」では、豪奢とエレガンスな雰囲気を巧みに表現し、技術を練磨してきたデュヴィヴィエが実力を発揮した作品と言われている。ヴォードヴィル風のコメディ「ブールマン嬢の結婚」(1927)は、ブールマン嬢と許嫁を中心とした揉め事の連続を描いた作品で、人物の生活を解剖し、軽快で明るく、ユーモラスでアクションのある作品だった。見せ場は市役所にロケした結婚の場面で、影絵を使ったり、奇想天外な効果が活用されているという。