ジガ・ヴェルトフとミハイル・カイフマンのドキュメンタリーの特質

 ニュースやドキュメンタリーの分野に価値を見出し、「キノ=プラウダ(真実)」などを製作したジガ・ヴェルトフには弟がいた。ヴェルトフの弟ミハイル・カウフマンは、モスクワの明け方から夕方までの一日を描いた「モスクワ」(1927)を監督している。

 彼らの映画製作についてジョルジュ・サドゥールは、「世界映画全史」の中で次のように書いている。

 「ヴェルトフとカウフマンは、何の演出もしないで不意打ちの人生を捕えるために、フラハティのドキュメンタリー的演出とはまったく異なった意味での一つの演出を構成することになったのである。彼らはトリック撮影(高速度撮影、コマ落とし撮影、マスキング、二重露出など)を敢えて拒否しなかった」

無声映画芸術の成熟―トーキーの跫音1919‐1929 (世界映画全史)

無声映画芸術の成熟―トーキーの跫音1919‐1929 (世界映画全史)