その他のソ連映画 1927年

 「ロマノフ王朝の崩壊」(1927)は、既存の記録映画材料を収集、再構成し、映像による歴史の再現を狙った作品である。ソビエト女性映画人の先達であるエフフィリ・シューブが演出した。シューブは、「ドクトル・マブゼ」のロシア語再編集をエイゼンシュタインと共に行った人物である。

 「SVD=大事業同盟」は、前衛的な映画を製作したエキセントリック俳優工房のグレゴリー・コージンツェフ、レオニード・トラウベルクによる作品で、18世紀初期に起こった貴族の将校による反乱事件であるデカブリストの乱を描いた作品である。

 「四一人目」(1927)は、ヤーコフ・プロタザーノフ監督による内戦を描いた作品である。島に一人で暮らす女赤軍兵が白軍将校を殺すという話で、ロマンティックな革命物語だった。主演女優のアダ・ヴォイツィクが素晴らしく、プロタザーノフの演出が冴えていたという。

 アブラーム・ローム監督の「ベッドとソファ」(1927)は、ネップ期のモスクワ生活を私的な男女関係という切り口で見せた作品である。住宅不足で共同生活を余儀なくされる男性二人と女性一人の性問題を描き、妊娠したヒロインが二人と別れて自立の道に旅立つラストは、フェミニズム映画の先駆けであると、山田和夫は指摘している。

 「サンクトペテルブルグの最後」(1927)は、フセヴォロド・プドフキン監督作で、十月革命の十周年記念映画として作られた。田舎から出てきた若者が1917年の革命に巻き込まれていくという内容の作品で、アクション場面には軍隊も協力したという。