映画評「極楽弁護士」

※ネタバレが含まれている場合があります

[製作国]アメリカ  [原題]SUGAR DADDIES

[製作]ハル・ローチ・ステュディオズ  [配給]パテ・エクスチェンジ

[監督]フレッド・ギオル、レオ・マッケリー  [製作]ハル・ローチ  [撮影]ジョージ・スティーブンス

[出演]スタン・ローレル、オリヴァー・ハーディ、ジェームズ・フィンレイソン、ノア・ヤング

 酒の勢いで結婚した女性の弟から大金を要求されたサイラスは、執事と弁護士と共に海へ逃げる。

 「極楽新兵」(1927)と同様に、タイトルに「極楽」と入っているものの、「極楽弁護士」は正式にローレルとハーディのコンビ作として製作された作品ではない。その証拠に、「極楽弁護士」では当時ハル・ローチのスタジオに所属していたコメディアンであるジェームズ・フィンレイソンも大きく絡んでいる。途中から、フィンレイソンはローレルの服の下に隠れるという展開になるため、ローレルとハーディの2人が主要登場人物となるが、その後のメインはどちらかというと、遊園地の遊具である。

 前後に大きく揺れる歩道や、回転するチューブといった遊具は、他の多くの作品でも描かれており、格好の被写体だったことだろう。今見ても、当時の人々の楽しそうに遊ぶ姿は、見ていてこちらも楽しい気持ちになる。最後の、巨大滑り台の下に人が円状に溜まるというオチもいい。私が見た活弁版には、「人間キャベツの出来上がり」という名文句がついていた。

 「極楽弁護士」は、ローレルとハーディのコンビ作ではないが、当時のハル・ローチのスタジオのコメディ製作の勢いが伝わってくるようだ。ちなみに遊園地のシーンでは、当時としては珍しい手持ちカメラによって撮影されている。効果的とは言えないものの、その果敢な試みにも勢いを感じる。撮影を担当しているのは、後に監督として大活躍していくジョージ・スティーブンスだ。