ジョルジュ・メリエス(1903)

 前年(1902)に、「月世界旅行」という現在でも名声を得ている作品を制作したメリエスはこの年、「妖精の王国にて」「地獄のファウスト」といった作品を制作している。

 「妖精の王国にて」については、ジョルジュ・サドゥールが「世界映画全史」の中で「多分メリエスの作品の中でもっとも魔術的な魅力あるものの一つであろう」と語っているほど、ファンタスティックな作品だったという。

 「地獄のファウスト」は、上映の際にピアニストが伴奏を弾きやすいように、仏英2カ国語で楽譜も同時に売り出された。また、今でもコントなどでたまに見られる、背景を円筒に巻きつけて、ぐるぐる回すことで登場人物が移動していることを示すという技法を使用している。

 メリエスの作品は、様々な会社によって模倣されたが、見世物商に対して現金払いで販売していただけで十分な収入を得ることができていた。