イギリス映画と剽窃

 イギリスではこの年、セシル・ヘップワースによる「強盗の巣」(1904)、ゴーモン・ブリティッシュ社製作、アルフレッド・コリンズ監督による「個人広告欄」(1904)などが製作されている。

 「個人広告欄」は、新聞の個人広告に花嫁募集の広告を出した主人公が、応募してきた大勢の女性たちに追いかけられるというものである。この作品とまったく同じ内容の作品がバイオグラフ社のウォーレス・マッカチオン監督によって「人事欄」(1904)のタイトルで製作されている。また、翌年にはフランスのパテ社によっても「夫一人に妻十人」(1905)のタイトルで製作されている。

 パテ社の作品は完全な剽窃としても、アメリカとイギリスの2作品のどちらが先に製作されたのかはよくわからない。どちらにしても、当時の映画界では剽窃が当たり前のように行われていたことの証明にはなるだろう。