イタリア映画の胎動

 イタリアではトリノで写真製品の卸業を行っていたアルトゥーロ・アンブロージオがこの年、映画カメラを入手し、スポーツ大会やルポタージュなどを撮影し、映画製作の第一歩を踏み出したといわれている。ちなみに、この頃のトリノは、写真芸術の中心地だった。

 アンブロージオが撮影した作品としては、「スーザ=モンチニジオ第一回自動車競走」(1904)や、マルゲリータ女王が臨席した「ランツォラ丘のアルプス連隊演習」1904などがある。これらの作品は、アンブロージオと友人の写真家ロベルト・オメーニャが撮影した。

 アンブロージオは後に、アンブロージオ社を設立し、初期のイタリア映画界を牽引していくことになる。

 ちなみにイタリアでは、映画機器開発に成功したがリュミエール兄弟より一歩遅れたフィロテオ・アルベリーニが、ローマで三番目の映画館モデルノ劇場を設立している。