日本の映画製作(1907)

 日本の映画界は、製作はまだ貧弱で、外国映画の輸入興行が中心だった。だが、映画製作も行われている。

 11代目を襲名した歌舞伎役者・片岡仁左衛門は、襲名記念映画を吉沢商店に依頼し、撮影されている。また、この作品の興行が成功したために、吉沢商店は市川右団次に出演を依頼し、歌舞伎映画を撮影している。両者とも屋外に作られた簡単な舞台で演じられる歌舞伎を固定してカメラで撮影されている。

 この2作を撮影した吉沢商店のカメラマンである小西亮は、この年足尾銅山ストライキ、大相撲の実況などの実写映画を撮影している。

 また、昨年「社会パック活動写真」を製作した高松豊次郎は、台湾総督府の依頼で台湾の山岳少数民族の生活を記録した「台湾実況紹介」を製作している。