パテ社とジョルジュ・メリエス(1)

 エジソンカルテル(MPPC)に参加した2つのフランスの映画会社、パテ社とジョルジュ・メリエスのスター・フィルム社は対照的な運命を辿っていた。

 この年のパテ社は、7つのスタジオを保有し、多くの演出家たちが活躍していた。撮影はスタジオとロケを組み合わせて行われていたが、ロケはスタジオの近くで行われた。

 世界中で大人気となるマックス・ランデー主演の喜劇もこの年から作られている。シックな服装に口ひげが特徴的で、チャップリンに影響を与えたといわれているランデーは「スケートをする人の初滑り」(1908)という作品で、最初のヒットを飛ばしている。

 また、ニュース映画の製作もおこなっていたパテ社は、この年パリにニュース映画のみを専門で上映する映画館を開設している。

 パテ社は、世界中にその製作作品を提供する大会社となっていた。家内制手工業的な製作から、工場的な大量生産の製作への移行に成功していたパテ社は、当時世界最大の映画会社として君臨していた。