フィルム・ダール社と文芸作品−フランス(2)

 「ギーズ公の暗殺」は、大衆受けはしなかった。大衆にとっては、劇作家のアンリ・ラヴダンのこともコメディ・フランセーズの役者たちのことも知らなかったのだ。大衆にとっては、作った人や出演者が舞台で有名な劇作家だったり、役者であったりすることに意味を見出すことはなかった。一方で、D・W・グリフィスは、この作品を見てその重要性を認めていたとも言われており、映画に変革の一石を投じた作品ということはできるだろう。

 フィルム・ダール社はこの後、高い演出家に払う演出料や役者たちに払う出演料によって、財政的に行き詰る。行き詰まりを打破するために、フィルム・ダール社は普通の商業的な作品を製作していくことになる。