フィルム・ダール社と文芸作品−フランス(3)

 フィルム・ダール社によって投げかけられた、文芸作品の波は他の会社へも飛び火した。「有名な俳優の出演による有名な主題」を映画化するために、パリではパテ社系列のスカグル社(文学者著作家映画協会、SCAGL)が設立された。ゴーモン社、エクレール社でも同じような試みが行われたが、成功はしなかった。

 フィルム・ダール社の作品は、パテ社によって独占的に上映されていた。作品の評価は散々なものだった。一方でパテ社は、自分の会社の系列であるスカグル社の利益を守るために、フィルム・ダール社の作品の利益が上がらないように注意したとも言われている。

 スカグル社は、有名な作家たちの作品を脚色して映画化した。それまで、有名な作家たちにオリジナルのシナリオを書いてもらっていたが、それよりも元からある原作を別の人物が脚色したほうが安上がりにすんだのだった。パテ社では、アルベール・カペラーニという人物が芸術監督に任命され、多くの作品が製作された。その数は年間50本に達した。カペラーニの作品は、舞台を撮影するメリエス的な方法だったという。