D・W・グリフィスの監督デビュー(3)

 グリフィスによる映画の変革はその萌芽を見せていた。テリー・ラムゼイはこの頃のグリフィスについて次のように語っている。

「グリフィスはスクリーンの統辞法に磨きをかけた。1908年まで、動く映像はそのアルファベットをたどたどしく綴るだけであった。だが、グリフィスとともに、映像はスクリーンの文法と写真の修辞を学び始めたのである」

 また、ジョルジュ・サドゥールはグリフィスが発展させたクロース・アップの技法に触れ、次のように語っている。

「顔はグリフィスが創る映画においては核心を成すものとなり、こうしてスターの君臨が始まろうとしていた。大衆は、自分の間近で息づくのを頻繁に見たその顔に名前をつけたくなったのだった」(世界映画全史)