MPPCと独立系の映画製作会社の対立(3)

 アメリカの独立系の映画会社は、リュミエール社からフィルムを輸入し、足りない分はイーストマン社のフィルムをリュミエール社のものと見せかけ転売した。イーストマン社は売れればよかったので黙認していたという。機械はMPPCの保有する特許を使用していないコロンビア映画社のものを使用した。また、見つからないようにキューバ、フロリダ、アリゾナ、カリフォルニアといったMPPCから遠く、陽光に恵まれた場所で撮影した。

 これらの会社に対して、MPPC側は対抗措置として法廷にこれらの会社を訴えた。また同時に、暴力団を雇い実力で映画製作者たちからカメラを奪ったりもした。独立系の映画会社の人々にも負い目はあった。MPPCの保有する特許を使用していないコロンビア社のカメラを使用していると主張していたが、実際はMPPCの一員であるパテ社のカメラを使用するケースが多かったという。

 MPPC側の妨害は激しかったが、それでも独立系の映画製作会社は徐々にその地歩を固めていくこととなる。


(映画本紹介)

アメリカ映画の文化史―映画がつくったアメリカ〈上〉 (講談社学術文庫)

アメリカ映画の文化史―映画がつくったアメリカ〈上〉 (講談社学術文庫)

アメリカ映画史を社会的、文化的、経済的な側面から眺めた1冊。といっても、それほど難しくはないので、専門的な映画本の入門編としても最適。MPPCの結成から崩壊までについても1節が割かれている。