D・W・グリフィスの活躍(1)

 バイオグラフ社で監督を行ったD・W・グリフィスは、演技を重要視して、俳優集団を抱えていた。ちなみに、後にキーストン社においてドタバタ喜劇で一時代を築くマック・セネットも、この年からグリフィス作品に出演している。

 そのグリフィスが重視した俳優陣の中の一人であるメアリー・ピックフォードが主演した作品が「淋しき別荘」(1909)である。この作品では、徐々にショットを短くしてサスペンスを生み出す効果的なカット・バックを披露しているが、ストーリーは1907年のパテ社の作品と似ているという。

 また、「小麦の買占め」(1909)という作品では、グリフィスは失業者や農民側に寄った作品を製作し、社会的な内容の映画も扱い始めている。



(映画本紹介)

リリアン・ギッシュ自伝―映画とグリフィスと私 (リュミエール叢書)

リリアン・ギッシュ自伝―映画とグリフィスと私 (リュミエール叢書)

D・W・グリフィスの主演女優としても有名なサイレント映画を代表する女優の一人であるリリアン・ギッシュの自伝。グリフィスについての記述がかなり多く、グリフィスを知る上で非常に役に立つ1冊。