アメリカにおける検閲

1907年、シカゴでは警察が検閲を行うことが出来る条例が制定されていたが、実際には使われることがなかった。だが、1909年には、シカゴの少年保護協会が条例強化を提起し、警察当局が検閲するようになった。

1909年末、シカゴの映画館主が検閲に対して訴訟を起こしたが、イリノイ州最高裁は条例を支持している。条文の定義が曖昧と映画館主側が主張したが、判事は「平均的人間ならば、『不道徳』『卑猥』の意味はわかる」として退けている。

この出来事がきっかけで、検閲はアメリカ国内で徐々に広がっていくことになる。



(映画本紹介)

アメリカ映画の文化史―映画がつくったアメリカ〈上〉 (講談社学術文庫)

アメリカ映画の文化史―映画がつくったアメリカ〈上〉 (講談社学術文庫)

映画作品のみならず、映画とアメリカ社会全般を幅広く眺めた1冊。検閲という映画に大きく影響を与える事象についても触れられている。