日本 エム・パテー商会の大久保撮影所

 それまでは野外撮影のみを行っていたエム・パテー商会はこの年、大久保に野天の舞台に天幕を張った撮影所を建設している。所属する技師のほとんどは20代で、入所すると映写技師をやって、クランクを回す速度を覚えた。また、フィルムの染色も盛んに行われたという。

 大久保撮影所の第一回作品は「大西郷一代記」と「孝行兵士」の2本で、落成したばかりの両国国技館で上映された。中央に二枚の映写幕を張り、円形の館内のどこからでも見られるようにし、中央で説明するという方法で上映したが、両面の映写がうまく合わず失敗に終わった。


(映画本紹介)

日本映画発達史 (1) 活動写真時代 (中公文庫)

日本映画発達史 (1) 活動写真時代 (中公文庫)

日本の映画の歴史を追った大著。日本映画史の一通りの流れを知るにはうってつけ。