フランス喜劇(2)

 マックス・ランデー以外では、プランス=リガダンという人物がこの年からパテ社で活動を開始している。演出家のジョルジュ・モンカと共同で第一次大戦中も継続して7,8年作品を製作していく。作品間に連続性はなく、プランス=リガダンはさまざまな役柄を演じた。

 パテ社はさらに喜劇映画に力を入れ、この年の12月にはコメディ専門のコミカ社をコートダジュールに設立している。

 ゴーモン社でも、ルイ・フイヤードがこの年、クレマン少年を主人公にした「ベベ」シリーズで喜劇を製作した。パテ社がアンドレ・デードやマックス・ランデーといった喜劇俳優のシリーズを製作させていたのに対して、ゴーモン社は子役で対抗したのだった。思惑通り大成功し、パテ社のリトル・モーリッツのシリーズやエクレール社のウィリーのシリーズといった子役が出演する喜劇が、「ベベ」シリーズを模倣して作られた。

 同じゴーモン社では、かつてロメオ・ボゼッティが製作していた喜劇「カリノ」シリーズをジャン・デュランが1909年から引き継ぎ、1913年まで製作している。「カリノ」シリーズには、混乱と破壊の精神が見られるという。デュランはさらに、エルネスト・ブルボンが演じた「オネジーム」シリーズを製作した。この喜劇はフイヤードが製作した喜劇よりも人気が高かったといわれるが、第一次大戦によって製作を中断することとなる。


(映画本紹介)

無声映画芸術への道―フランス映画の行方〈2〉1909‐1914 (世界映画全史)

無声映画芸術への道―フランス映画の行方〈2〉1909‐1914 (世界映画全史)

映画誕生前から1929年前までを12巻にわたって著述された大著。濃密さは他の追随を許さない。