田中純一郎の見解(1910年頃の日本映画)
この頃の日本映画について、「日本映画発達史」の田中純一郎は次のように語っている。ちなみに、田中純一郎は、陰ゼリフについては、映画の発展を阻害したものとして、その価値をほとんど認めていない。
「明治の日本映画は、どこまでも演劇の代用だとしか思われていなかったし、松之助映画のように数で馴染みを作って行ったのは別として、多くはその場限りの俳優を臨時に使って撮影したから、まだスクリーンには馴染みの人気俳優が少なかった。どうしても劇場所属の説明者、ことに声色のうまい芸人風の説明者に人気が集注され、活動館の興行価値はスクリーンよりもその脇に立っている実在の人物の上に偏した。これは明らかに映画発達史の上で変則的な長い時期であった」
(映画本紹介)
- 作者: 田中純一郎
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 1975/12/10
- メディア: 文庫
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日本の映画の歴史を追った大著。日本映画史の一通りの流れを知るにはうってつけ。