エジソン社の作品 1905年(1)

「THE KLEPTOMANIAC」
 インテリア用品を万引きする上流階級の女性と、食べ物を万引きする貧しい暮らしをする女性。裁判で貧しい女性は刑務所に入れられるが、上流階級の方は自由の身となる。

 最初に上流階級の万引きの様子を見せ、次に貧しい女性の万引きの様子を見せることで、見るものが容易に比較できるようになっている。見せ方も、ステレオタイプな「金持ち/貧しい人」の構図になっていて、貧しい女性の方に共感が寄せられるようになっている。最後の裁判のシーンでは、その不条理に胸を打たれるものがある。

 注目すべきは、裁判で上流階級の方が無罪になるという展開。これは、露骨に司法を批判しているともいえ、かなり思い切ったことのように思える。もっとも、新聞で描かれた司法批判の風刺画を元に映画は作られているようだが。

 社会問題を扱った最も最初期の例としても、貴重な作品といえるだろう。

 エドウィン・S・ポーター監督作。



(DVD紹介)

Edison: Invention of the Movies [DVD] [Import]

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映画初期のエジソン社製作の映画を大量に見ることができる4枚組DVD−BOX。各作品についての解説(英語)もあり、かなり親切な作りになっている。

注意!・・・「リージョン1」のDVDです。「リージョン1」対応のプレイヤーが必要です。