1905

 作者不明の作品 1905年

「髪結い」 腰布を巻いただけの女性が、鏡を見ながら髪を結っている様子を撮影。 撮影されている角度、腰布の巻き方などから、かなり計算されて撮影されているように思える。いやらしさはあまり感じられない。たとえは大げさだが、「ミロのヴィーナス」を見…

 フランス パテ社の作品 1905年

「Revolution in Russia」 フランス・パテ社製作、リュシアン・ノンゲ監督。 ロシアで起こったオデッサの反乱をドラマ化した作品。 後にセルゲイ・エイゼンシュタインが映画化する「戦艦ポチョムキン」と同じ事件を題材としている。4分と短く、説明もないた…

 フランス ゴーモン社の作品 1905年

「LES O’MERS DANS “LES MACONS”」(1905) 英語題「THE O'MERS IN "THE BRICKLAYERS"」 製作国フランス Société des Etablissements L. Gaumont 監督アリス・ギイ 2人の警官たちを、4人の男たちが徹底的にコケにする。 警官たちの黒のユニフォームと…

 フランス フェルディナン・ゼッカの作品 1905年

「徒刑場にて」(1905) フランス、フェルディナン・ゼッカが手掛けた作品と言われる。 徒刑場の「入所」「重労働」「暴動」「脱獄」「処刑」といった場面を、それぞれワンシーン・ワンカットで描写した作品。人々の注意を引きやすいという点で、「ある…

 イギリス セシル・ヘップワースの作品 1905年

「RESCUED BY ROVER(ローヴァーに救われて)」 赤ん坊がさらわれる。一匹の飼い犬が赤ん坊を探し出し、父親を赤ん坊の元へと連れて行く。 という単純な作品だが、犬が赤ん坊を探す様子がショットを割って描かれている。道を走り、川を泳ぎ、貧民窟を1つず…

 アメリカン・ミュートスコープ・アンド・バイオグラフ社の作品 1905年(4)

「IMPOSSIBLE CONVICTS」 アメリカン・ミュートスコープ・アンド・バイオグラフ社による作品。 逃げ出そうとする受刑者と看守のやり取りが、逆回しをつかってコミカルに描かれている。・・・のだが、途中は通常と同じ動きを見せる。どこかでフィルムが編集され…

 アメリカン・ミュートスコープ・アンド・バイオグラフ社の作品 1905年(3)

「AIRY FAIRY LILLIAN TRIES ON HER NEW CORSETS」 アメリカン・ミュートスコープ社の作品。 太った女性がコルセットをつけようと格闘しているのを、夫が手伝っている。 「ブルー・フィルム」というよりも、コメディの印象が強い。それでも、女性の下着姿を…

 アメリカン・ミュートスコープ・アンド・バイオグラフ社の作品 1905年(2)

「INTERIOR NEW YORK SUBWAY, 14TH STREET TO 42ND STREET」 アメリカン・ミュートスコープ・アンド・バイオグラフ社(後にバイオグラフ社となる)の作品。 開通したばかりの地下鉄。先頭車両の視点からの(正確には前の列車に牽引してもらっている車両の視点か…

 アメリカン・ミュートスコープ・アンド・バイオグラフ社の作品 1905年(1)

「DUEL SCENE FROM MACBETH」 アメリカン・ミュートスコープ・アンド・バイオグラフ社(後のバイオグラフ社)の作品。 シェイクスピア原作の「マクベス」からマクベスとマクダフの対決のシーンのみを描いた約1分の作品。当時、バイオグラフ社は様々な国の「…

 エジソン社の作品 1905年(10)

「THE NIGHT BEFORE CHRISTMAS」 エジソン社の作品。エドウィン・S・ポーター監督。 クリスマス・イヴ。サンタ・クロースからのプレゼントを心待ちにする子供たちの様子と、プレゼントを届けるサンタの様子を描く。 皮肉も風刺もなく、クリスマスの楽しい部分を…

 エジソン社の作品 1905年(9)

「POLICE CHASING SCORCHING AUTO 女の子を轢きそうになった車を、バイクに乗った警官が追いかける。 馬車か車にカメラを乗せ、バイクが走る様子を後ろから追いかけながら撮影しているという構図が珍しい。安全性の問題からか、あまりスピードは出ておらず迫…

 エジソン社の作品 1905年(8)

「LIFE OF AN AMERICAN POLICEMAN」 警察官が自殺しようと海に飛び込んだ女性を助けたり、暴走する暴れ馬に乗る女性を助けたりする。一方、さぼっているところを上司と思われる人物に見つかりそうになり、何とかごまかすというシーンもある。 当時のエジソン…

 エジソン社の作品 1905年(7)

「THE TRAIN WRECKERS」(1905) 線路上に大木を置いて列車を脱線させようというならず者たちの試みを、1人の女性が防ぐ。ならず者たちは、女性を捕まえて気絶させ、線路上に放置して轢死させようとするが、救出される。最後には、ならず者たちは汽車の…

 エジソン社の作品 1905年(6)

「THE MILLER’S DAUGHTER」 アーティストと結婚をしようと駆け落ちするも、アーティストには妻と子がいることを知るヘイゼル。ヘイゼルの父(ミラー)は、そんなヘイゼルを家から追い出す。苦しい生活に耐えかねて自殺を試みるヘイゼルだが、1人の男性に助…

 エジソン社の作品 1905年(5)

「THE WATERMELON PATCH」 畑からスイカを盗んで、ダンス・パーティに持ち帰ってみんなで食べる。白人たちは、スイカを盗んだ黒人を捕まえにやってくる。 最も楽しいシーンは、黒人たちによるダンス・シーンだ。それぞれが自分の得意とするステップを踏む様…

 エジソン社の作品 1905年(4)

「THE WHITE CAPS」 白いマスクをした集団が、ネイティブ・アメリカンと思われる男性を捕まえ、肌に白い羽のようなもの(綿?)をつけて馬で引き回す。 最後に助けがあるわけではなく、ただKKKのような集団による横暴が映し出される。もちろん、演出され…

 エジソン社の作品 1905年(3)

「THE LITTLE TRAIN ROBBERY」 子供たちが観光地などにある小さな汽車を襲って逃げるが、最後にはつかまってしまう。 この作品と同じくエドウィン・S・ポーターが監督した「大列車強盗」(1903)のパロディである。ヒットした作品を元にしたパロディが…

 エジソン社の作品 1905年(2)

「THE SEVEN AGES」 7つの異なる世代による男女のキスの様子を映し出した後で、最後に1人の女性が猫とキスをするという落ちがつく。 エドウィン・S・ポーター監督作。 「The Whole Dam Family and the Dam Dog(ダム家の面々と犬)」 Dam一家の人々がクロ…

 エジソン社の作品 1905年(1)

「THE KLEPTOMANIAC」 インテリア用品を万引きする上流階級の女性と、食べ物を万引きする貧しい暮らしをする女性。裁判で貧しい女性は刑務所に入れられるが、上流階級の方は自由の身となる。 最初に上流階級の万引きの様子を見せ、次に貧しい女性の万引きの…

 日本映画(1905)

昨年勃発した日露戦争はこの年の8月に日本が勝利した。昨年から続いていた日露戦争映画はこの年も人気を誇った。 吉沢商店のカメラマン千葉吉蔵は、日露戦争の撮影も行っていたが、東郷平八郎元帥が東京に凱旋した際に、カメラを手持ちにして、電信柱に上っ…

 その他(1905)

映画はこの頃モノクロであったが、フィルムに直接着色することで、カラーとしても上映を行っていた。はじめは手作業で行っていたこの着色の作業だが、1905年頃から機械化されるようになったといわれている。 ドイツでは1905年以降、セルロイドに代わ…

 ニッケル・オデオンの誕生(2)

後に、ハリウッドの大立者となる人々もニッケルオデオンで資本を蓄えた人々である。 アドルフ・ズーカーは、1903年にペニー・アーケードの施設を営む会社を仲間と一緒に設立し、マーカス・ロウを仲間に引き入れたが、会社から除名されていた。その後ズーカ…

 ニッケル・オデオンの誕生(1)

この年のアメリカでは、ニッケル・オデオンの誕生という大きな出来事があった。 ニッケル・オデオンはピッツ・バーグに誕生した映画館のことで、朝8時から真夜中まで、1番組約20分程度で映画を上映した。入場料を5セント、すなわちニッケル銅貨だったこ…

 アメリカ(1905)

アメリカでは、エジソン社のエドウィン・S・ポーターが、ジョルジュ・メリエス的な「クリスマス前夜」、イギリスのセシル・ヘップワースの作品に似た「レアビット好きの夢」といった作品を製作している。 ポーターはメリエスやイギリスの作品を剽窃して作品…

 イタリア、スペイン、ドイツ(1905)

この年、イタリアで映画機器開発者でもあり、ローマの映画館経営で成功していたフィロテオ・アルベリーニは、ダンテ・サントーニの資本参加を得て、最初の映画製作会社「アルベリーニ・エ・サントーニ社」を設立している。 ローマに敷地2,000平方メート…

 イギリス セシル・ヘップワースの活躍

イギリスでは、セシル・ヘップワースが製作した「ローヴァーに救われて」という映画がヒットを飛ばした。犬が誘拐された赤ん坊を見つけ出すというこの作品は、ショットを割って空間的な広がりを感じさせる作品だった。 ヘップワース自身と妻と娘と飼い犬が出…

 ゴーモン社

フランスのゴーモン社はこの年、スタジオを建設している。そして、そのスタジオの製作責任者に、他の候補者を退けて、女性のアリス・ギイが就任する。ギイは人形劇、演劇、伝説、小説からアイデアを得て、さまざまな作品を製作した。 またこの年、ヴィクトラ…

 ジョルジュ・メリエスの凋落の始まり

映画界をトリック映画で豊かにしてきたジョルジュ・メリエスは、この年第二スタジオを建設している。それだけではなく、大量の衣装を買い込み、日光の弱さを補うためにスタジオ内に電気の照明装置を取り付けた。 作品も多く発表した。ベルギーの国王を皮肉っ…

 パテ社のさらなる伸張

フランスのパテ社はこの年も様々なジャンルの映画を製作している。 再現された実写映画の分野では、ロシア革命が題材である「ロシアにおける諸事件」(1905)や、「戦艦ポチョムキン」の題材ともなった事件を映画化した「ロシア革命−オデッサ事件」(1…