フランス ゴーモン社の作品 1908年
「FANTASMAGORIE」
ゴーモン社、エミール・コール監督
アニメ映画の先駆者として知られるエミール・コールの作品。
ストーリーなどなく、ひたすらアニメならではのシュールな映像の展開が楽しい作品。
「糸紡ぎの伝説(LA LEGENDE DE LA FILEUSE)」
ゴーモン社製作 監督ルイ・フイヤード
人間のアラクネは、女神アテネとの織物対決に勝つが、アテネの怒りを買って、地獄へ落とされてしまう。
ギリシア神話の一エピソードの映画化である。ストーリーも分かりやすい上に捻りが効いていて、単純に楽しむことができた。二重写しなどのテクニックを駆使し、同時期のジョルジュ・メリエスが映像トリックとドラマを融合できずにいたところを、見事に物語に結び付けている。ギリシア神話を扱っているため、非現実的な部分もある内容と映像テクニックもマッチしている。
「全く申し分のない婦人(UNE DAME VRAIMENT BIEN)」
ゴーモン社製作 監督ルイ・フイヤード
美しい婦人が歩くと、男性たちはみんな見とれて、自転車に乗っている男は転んでしまい、行進している兵士たちは将棋倒しになってしまう。
ありふれた、ベタなコメディなのだが、徹底された男性陣たちの見とれっぷりが見事だ。いつの時代も男性は美しい女性に弱い。ただそれだけのことなのだが、何か普遍的な法則を見つけたような気持にさせられる。
「ファントーシュたちの間のドラマ」
製作国フランス •Société des Etablissements L. Gaumont製作・配給
原題「UN DRAME CHEZ LES FANTOCHES」 英語題「A LOVE AFFAIR IN TOYLAND」
監督エミール・コール
アニメーションの始祖といわれるエミール・コールによる4分弱の作品。白い線によって描かれたアニメーション。
「ファンタスマゴリー」がストーリーを追うタイプではないのに対し、この作品は多少のストーリーがある(女性の心を射止めようとする男の物語)。
「LE CAUCHEMAR DU FANTOCHE」
製作国フランス 英語題「THE PUPPET'S NIGHTMARE」
Société des Etablissements L. Gaumont製作
監督エミール・コール
当時コールが製作していた「ファントーシュ」という男が主人公の線画アニメ。ストーリーはなく、タイトル通りにファントーシュが見る悪夢がシュールに表現されている。ファントーシュの造形といい、次から次へと形の変わっていく物体や人物といい、キッチュな魅力を持っている。単なるアニメーション技術だけではなく、センスを感じる。
「LE CERCEAU MAGIQUE」
製作国フランス 英語題「THE MAGIC HOOP」
Société des Etablissements L. Gaumont製作・配給
監督・脚本エミール・コール
壊れた輪っかを不思議なおじさんに直してもらった少女。壁にかけた輪っかの中には不思議な映像が映し出される。
序盤はジョルジュ・メリエス風のストップモーションを使用して輪を大きくしたり、少女やおじさんの服装を替えたりといった楽しさ。後半は、輪の中に映し出される様々な映像やアニメーションで楽しませてくれる。私が見たバージョンは、フィルムの保存状態が悪く、輪の中の映像に分からない部分が多くあったのが残念。
「LE PETIT SOLDAT QUI DEVIENT DIEU」(1908) GAUMONT TREASURES VOLUME 2
製作国フランス 英語題「THE LITTLE SOLDIER WHO BECAME A GOD」
Societe; des Etablissements L. Gaumont製作
監督・脚本エミール・コール
兵隊の人形たちが海を渡り、黒人の土着民族から神と崇められる。
ストップモーションを使用して、人形が移動しているように描いている。ストップモーション・アニメとしてのレベルはそれほど高くない。
「LES FRERES BOUTDEBOIS」(1908) GAUMONT TREASURES VOLUME 2
製作国フランス 英語題「THE BOUTDEBOIS BROTHERS」
Societe; des Etablissements L. Gaumont製作
監督・脚本エミール・コール
2体の人形がアクロバットを見せてくれる。
ストップモーションを使用した作品。定点カメラで舞台を撮影したように作られている。人形は腕の関節が曲がらないなど滑らかさに欠けるものの、それが逆に生気のない人形が生気のあるアクロバットを見せてくれる楽しさにつながっている。