D・W・グリフィスの作品 1909年(3)

「THE SEALED ROOM(封印された部屋)」

 D・W・グリフィス監督作品。バイオグラフ社製作。

 エドガー・アラン・ポー原作の物語の映画化であるこの作品は、11分の短時間の間に王妃の浮気と王の嫉妬、そして復讐というドラマが過不足なく詰め込まれた作品といえる。王妃と恋人の死で終わるラストは、今見るとその残酷さに驚く人も少なくないのではないだろうか。

 とはいえ、11分という短時間ゆえにドラマは掘り下げられているとはいえない。また、愛し合う王妃と恋人に気付かれないように部屋を封印するために石を積み上げているものの、どう考えてもまったく無音で行うことが不可能であることを考えると、時間を短く収めるために不自然になっている(だが、映画自体はサイレントなので、不自然さが気にならない人も多くいるだろう)。

 コスチュームやセットに凝り、舞台を撮影するような撮影方法で撮られている。この方法は、グリフィスが影響を受けたというフランスのフィルム・ダール社の作品的であると思われる。だが、グリフィスは、愛し合う王妃と恋人のショットと、嫉妬に狂いながら部屋の入り口に石を積み上げさせる王の様子のショットを交互に見せることで、単なる舞台を撮影した作品とは一味違ったものとしている。



(DVD紹介)

Dw Griffith: Years of Discovery 1909-1913 [DVD] [Import]

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 バイオグラフ社所属時代のD・W・グリフィスの作品を集めた2枚組DVD。多くが1巻物(約15分)の作品が、全部で22本見ることができる。

注意!・・・「リージョン1」のDVDです。「リージョン1」対応のプレイヤーが必要です。