エジソン社の作品 1910年(2)

「A CHRISTMAS CAROL」

 エジソン社の作品。

 チャールズ・ディケンズの同名小説の映画化である。といっても、17分の作品であり、作品のハイライト部分が映画化されている。

 この頃までの小説を映画化した作品は、作品の内容を知っていることを前提として作られているものが多い。そのため、登場人物の性格の説明などがされずに、原作の内容を知らない人には何が何やらわからない場合もあった。だが、この作品は最初に主人公のスクルージがいやなヤツであることがきちんと表現されおり、原作を知らない人でもきちんとドラマとして楽しむことができるようになっている。

 この当時、D・W・グリフィスが映画を物語を語るものとして工夫を加えていたが、グリフィスが所属したバイオグラフ社以外の会社の作品も、物語を語ることに力を入れていたことがわかる。それは、観客の要請でもあったことだろう。映画が物語を語るものとしての基礎を築いていく様子の一端がこの作品には表れている。



(ビデオ紹介)

Christmas Past [VHS] [Import]

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サイレント期に製作された、クリスマスをテーマにした作品集。今も昔も特別な日であるクリスマスは、もちろん映画草創期から取り上げられやすい題材だった。