エジソン社の作品 1910年(3)

「THE STENOGRAPHER'S FRIEND」

 エジソン社製作の作品。エジソン社のフォノグラフ(音声を録音する機械)をオフィスに導入したときの効果を、実例を交えて紹介している。ちょっとしたドラマを交えたCMである。

 とあるオフィス。1人の女性に口述した内容のタイピングを頼む2人の男性。忙しくて女性は5時を過ぎても帰れない。そんな状況も、エジソン社製のフォノグラフを導入すればすぐに解決。蝋管に音声をそのまま記録しておくことができるので、5時を過ぎたら蝋管に録音しておいて、次の日にタイピングしてもらえばOK。といった内容になっている。

 蓄音機はエジソンの大きな発明の1つであり、開発から30年程度が経過したこの頃でも主要な役割を果たしていたことが分かる。

 1つ疑問が残るのが、この作品がどのようにして上映されたのだろうかという点だ。1分程度のCMならば、他の作品の上映前に流しても文句は出ないと思うが、8分程度のこの作品を普通に上映したら不満が出そうな気がする。


THE POLICE FORCE OF NEW YORK CITY」

 エジソン社製作 ジェネラル・フィルム配給

 ニューヨークの警察の活動を紹介した作品。交差点での交通整理、セントラル・パークでの騎馬警官の活躍、バイクによる速度違反の車の検挙、波止場での救出劇、警察犬の活躍が描かれる。

 大都市ニューヨークの当時の様子を垣間見ることができる。もちろん演出されたものなのだが、騎馬警官が暴走する馬を取り押さえるシーンでは、向こうから走ってくる馬をカメラのちょうど目の前で取り押さえるタイミングの良さに騎馬警官の腕前を感じた。


「FRANKENSTEIN」(1910)

 製作国アメリカ エディソン・マニファクチュアリング・カンパニー製作・配給
 監督・脚本J・サール・ドーリー 原作メアリー・シェリ

 有名な「フランケンシュタイン」の初の映画化作品。15分弱という短い時間の作品のため、主要部分のみを映画化したもの。

 フランケンシュタイン博士が生み出した怪物の造形は、私たちが良く知る造形と異なる。髪や爪が長く背中が丸まっており、ロン・チェイニーが演じた「ノータルダムのせむし男」(1923)のカジモドを思わせる。ボリス・カーロフが「フランケンシュタイン」(1931)で演じたモンスターの造形が、いかに印象的で後年に影響を与えたのかが分かる。

 モンスターが生み出される映像が印象的だ。人型の模型のようなものを燃やしていき、それを逆回しにすることでモンスターが誕生していくように描かれている。このシーンの不気味さはなかなかのものだ。逆回しという映像トリックが、恐怖描写に効果的に使われている。



(DVD紹介)

More Treasures From American Film Arch 1894-1931 [DVD] [Import]

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アメリカ国内のフィルム・アーカイヴ所蔵の映画の中から選出した貴重な作品群を集めた3枚組みDVD。

注意!・・・「リージョン1」のDVDです。「リージョン1」対応のプレイヤーが必要です。