D・W・グリフィスの作品 1910年(4)

「THE HOUSE WITH CLOSED SHUTTERS(鎧戸の締まった家)」

 D・W・グリフィス監督作品。バイオグラフ社製作。

 舞台は南北戦争。出征したある兵士が、書簡を前線へ運ぶ任務を帯びるが、任務途中で恐怖からそのまま実家に帰ってしまう。兵士の任務を知った兵士の妹が男性のフリをして任務を遂行しようと試みるも、その後の戦闘で死んでしまうが、妹の死は兵士の死として処理される。それを知った兵士の母親は、真実がばれないように窓をすべて締め切り、兵士を外には出さないようにする。それから数十年後、年老いた兵士は窓を開けて外に出ようとするが同じく年老いた母親に止められ、死んでしまう。かつての友人たちが、偶然兵士が窓を開けるところを目撃し、真相を知るのだった。

 複雑なストーリーなのだが、1巻物(約15分)の作品である。しかも、数十年の時が映画の中では流れている。グリフィスは素早い編集によって、この複雑な物語を語り切ることに成功している。時の移り変わりは字幕を利用するのではなく、登場人物が白髪となっていく様や徐々にボロボロになっていく部屋の様子によって表現されている。

 1巻物の枠の中で、これほどの壮大さを感じさせる作品はあまりなく、当時ストーリー・テラーとして映画界をリードしていたグリフィスの面目躍如の作品となっている。



(DVD紹介)

「Unseen Cinema - Early American Avant Garde Film 1894-1941」

 初期のアメリカ映画を多く見ることができる7枚組みのDVD。日本ではなかなか見ることができない作品を見ることができる。
 アメリカのamazonから輸入して買うことができるが、もちろん英語。それでも買いたいと思う人は、下記サイトが参考になります。

http://dvd.or.tv/
 
注意!・・・「リージョン1」のDVDです。「リージョン1」対応のプレイヤーが必要です。