フランス パテ社・アメリカ支社の作品 1910年

「WHITE FAWN'S DEVOTION」

 フランス・パテ社のアメリカ支社によって製作された作品。

 ネイティブ・アメリカンが出演している作品であり、内容も白人の夫とネイティブ・アメリカンの妻という人種の違う男女の夫婦が登場している。

 白人の夫の元に遺産が入るという手紙が来る。遺産をもらうためには東部へ行かなければならないため、ネイティブ・アメリカンの妻はそのまま夫が戻らないと思い込み、ナイフで胸を突いて自殺を図る。妻を発見して嘆き悲しむ夫。そこに、2人の娘がやって来て、夫が妻を殺したと思い込み、ネイティブ・アメリカンの祖父に連絡する。夫はネイティブ・アメリカンの男たちに追いかけられる。

 白人とネイティブ・アメリカンの夫婦という設定が興味深い。この頃のアメリカは、その後の数十年と比べて、テーマの面で自由だったことを示している。

 もう1点、興味深かったのは子供の取り扱い方だ。捕らえられた白人の夫に対して、ネイティブ・アメリカンたちは死刑を執行しようとする。その方法とは、横にした夫の頭の上にたくさんの石の入った袋を吊るし、紐を切るとその袋が男の頭の上に落ちるというものだ。その紐を子供に切らせようとする。母親を殺された復讐をさせるということだが、それを子供にやらせるという残虐性に加えて、ためらう子供に対して小突いたり叩いたりして紐を切ることを強要する様子が衝撃的ですらある。「ネイティブ・アメリカン=残虐」というステレオタイプが子供に対する描き方を許容しているのだろうが、少し驚いた。



(DVD紹介)

「TREASURES FROM AMERICAN FILM ARCHIVES」

アメリカのフィルム・アーカイブ所蔵の作品を収録した4枚組のDVD。

アメリカのamazonから輸入して買うことができるが、もちろん英語。それでも買いたいと思う人は、下記サイトが参考になります。

http://dvd.or.tv/


注意!・・・「リージョン1」のDVDです。「リージョン1」対応のプレイヤーが必要です。