ニッケル・オデオンが映画にもたらしたもの(3)
労働者階級にとっての映画専門館が存在していなかったという状況の中、ニッケル・オデオンが1905年のピッツバーグに誕生している。ニッケル・オデオンは朝から夜まで、1番組について20分程度で映画を上映した。ニッケル・オデオンには客が詰めかけた。
ニッケル・オデオンの成功については、数々の要因が考えられている。ニッケル・オデオンの5セントという設定が、他の娯楽(寄席で酒を飲みながら出し物を見たり、トランプ賭博をしたりなど)と比較して安く済んだということ。ヨーロッパ移民たちの中には英語を理解できないものも多く、他の出し物(漫談やコントなど)の意味がわからなかったが、サイレント映画は映像のみで理解することが可能だったということ。こういった要因が結びついて、ニッケル・オデオンは大成功を収めたといわれている。
(DVD紹介)
- 作者: 加藤幹郎
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2006/07/01
- メディア: 新書
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映画がどのようにして観客に受容されてきたかについて書かれた数少ない本。映画は常に映画を見る環境と共に成立し、変化してきたことを教えてくれる。