フランス映画の筆頭監督アベル・ガンスの活躍

 フランスの映画監督の筆頭ともいえる活躍を見せていたアベル・ガンスは、「死の地帯(死線)」(1917)を監督している。娘に恋した老人の物語に、魔法使いや宇宙の破局などが絡む大仰な脚本の「死の地帯」は、商業的には当たらなかった。だが、この年、映画業界紙「ル・フィルム」の編集長となっていたルイ・デリュックは誌的ヴィジョンの壮大さを賞賛した。

 「死の地帯(死線)」は、1916年にガンスが監督した「悲しみの聖母(悲しめる母)」(1916)を見て感動したシャルル・パテが経済的支援を行った作品である。その後もパテはガンスの映画の支援をしていく。



(映画本紹介)

無声映画芸術の開花―アメリカ映画の世界制覇〈1〉1914‐1920 (世界映画全史)

無声映画芸術の開花―アメリカ映画の世界制覇〈1〉1914‐1920 (世界映画全史)

無声映画芸術の開花―アメリカ映画の世界制覇〈2〉1914‐1920 (世界映画全史)

無声映画芸術の開花―アメリカ映画の世界制覇〈2〉1914‐1920 (世界映画全史)