日本 弁士の前説明

 弁士の説明と言えば、映画本編が上映されているときにスクリーンに映し出されているシーンの説明である「中説明」が一般的に思い浮かぶが、映画上映前にも説明による前説明が行われていた。だが、1917年頃からは、徐々にこの前説明が廃れ始めていき、1920年ころ以降は、弁士は中説明をするだけになったといわれる。

 弁士に対する反対意見も根強く、作家の谷崎潤一郎は1917年に「活弁を全廃してもらいたい」と語ったという。

 映画が長編化されると、弁士の説明は交代で行われるようになったという。ちなみに、長篇になっても説明者がいたのは、日本・朝鮮・台湾・タイのみだと言われている。



(映画本紹介)

日本映画発達史 (1) 活動写真時代 (中公文庫)

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日本の映画の歴史を追った大著。日本映画史の一通りの流れを知るにはうってつけ。

映画館と観客の文化史 (中公新書)

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