私が読んだ映画の本(1)

 ここで私が読んだ映画の本のいくつかを紹介したい。映画を見るのと同じくらい、映画についての本を読むことは刺激的で楽しい体験だ。


 映画誕生の父と言われるフランスのリュミエール兄弟についての本については次の本を読んだ。

 いずれも日本での上映の過程やその影響について論じたものである。「日本映画史の研究」以外は、映画生誕100年と言われた1995年に合わせて発売されたものである。「日本映画史の研究」は、個人で日本映画映画黎明期を調査して自費出版を行っていた塚田嘉信という人物の涙ぐましい労作だ。

「光の生誕リュミエール」(1995年映画生誕百年祭上映会プログラム)
「映画伝来 シネマトグラフと明治の日本」
リュミエール元年―ガブリエル・ヴェールと映画の歴史」
「日本映画史の研究―活動写真渡来前後の事情」

 リュミエールと共にフランスの映画黎明期に名前が出てくる人物がジョルジュ・メリエスだ。興行師(マジシャン)から映画に進出したメリエスは、様々な映像トリックを使って映画を見世物として人々の興味を引きつけるのに貢献した人物だ。

 そのメリエスの孫が書いた本が「魔術師メリエス―映画の世紀を開いたわが祖父の生涯」である。メリエスの映画製作についてはもとより、人気を失った後のメリエスが過ごした人生までが描かれる。読む前は、不幸な晩年というイメージを持っていたのだが、決して不幸なだけではなかったことを知った。


 メリエスの名前は映画史に燦然と輝いているが、今では名前を聞かない同時期に監督として活躍した人物にアリス・ギィがいる。ギィはアリスという名前の通り、女性である。「私は銀幕のアリス―映画草創期の女性監督アリス・ギイの自伝」は、そんなアリス・ギィの自伝である。

 1900年代初めにギィがフランスで監督として活躍した時代から、夫の渡米に合わせてアメリカに渡った後も映画を撮り続けた時代が描かれる一方で、女性と映画産業との関係まで論じられている。


映画伝来―シネマトグラフと〈明治の日本〉

映画伝来―シネマトグラフと〈明治の日本〉

魔術師メリエス―映画の世紀を開いたわが祖父の生涯

魔術師メリエス―映画の世紀を開いたわが祖父の生涯

私は銀幕のアリス―映画草創期の女性監督アリス・ギイの自伝

私は銀幕のアリス―映画草創期の女性監督アリス・ギイの自伝

  • 作者: アリスギイ,ニコル=リーズベルンハイム,Alice Guy,Nicole‐Lise Bernheim,松岡葉子
  • 出版社/メーカー: パンドラ
  • 発売日: 2001/12/01
  • メディア: 単行本
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