会社を超えた時代劇の変化

 寿々喜多呂九平脚本の「浮世絵師・紫頭巾」(1923)や松竹蒲田で作られた伊藤大輔脚本の「女と海賊」(1923)は、それまでの尾上松之助の映画とは異なったタイプの時代劇を目指した。そして、忠義を第一とした時代劇から離れた反逆的時代劇とも言える作品が作られるようになり、流行は1931年頃まで続いていく。この時期は、経済的不況を経て、軍国主義化、ファシズムへと傾斜した時期でもあるとともに、無声映画の技術的革新と円熟期の時期でもある。