日活 溝口健二、女性に切られる 1925年

 活躍を続けていた溝口健二は、戦争風刺劇の漫画が原作の「無銭不戦」(1925)を監督している。この作品は、金がなければ戦わないという、中国人の心理を露骨に描きすぎているという理由で、検閲により半年間お蔵入りとされた後、関西では封切られたが、東京では上映禁止となったという。

 そんな溝口はプレイベートでも話題を呼んだ。恋人との痴話喧嘩の末にカミソリで切りつけられ、新聞沙汰となったのだ。この事件によって、溝口は女の醜さや哀しさを知るようになり、その後の作風に影響を与えたと言われている。