日活 女優の活躍 酒井米子

 現代劇で活況を見せ始めた日活では、女優の活躍が目立って来ていた。

 日活は、梅村蓉子を松竹から引き抜いたが、日活が育てた女優も活躍していた。酒井米子はその1人である。1920年に日活が初めて女優を採用したときは芸者で、それ以前は新劇女優だった酒井は、日活のトップ女優となり、1920年代半ばからは京都撮影所で時代劇にも出演していた。

 1926年には、溝口健二の「狂恋の女師匠」(1926)に出演。溝口の友人の川口松太郎が書いた脚本を元に、冴えた女性描写と浮世絵風な情趣を表現したというこの作品中で、酒井は若い恋人たちに嫉妬して亡霊となって現れる役を演じている。

 酒井は、原駒子や鈴木澄子と並び、ヴァンプ女優のベスト・スリーと言われる活躍を見せた。男と対決する役や女の意地と度胸を示す役を演じ、素晴らしいなまめかしさの持ち主として活躍した。