「狂恋の女師匠」と怪談映画の系譜

 溝口健二監督、酒井米子主演の「狂恋の女師匠」(1926)は、川口松太郎三遊亭円朝作「真景色累ヶ淵」を脚色した作品である。本作は、怪談の系譜としても語られるべき作品でもある。

 日本の怪談映画は、歌舞伎・講談・落語・民間伝承に突き当たり、日本の怪談の本質は幽霊の出現に至る因縁話と幽霊が現れるときのすごみの利いた描写にある。繰り返し映画化された怪談としては、「東海道四谷怪談」「真景累ヶ淵」「牡丹灯篭」「鍋島の猫騒動」の4つが上げられるという。